シナリオ001『科学部の危険なアルバイト』

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トリニティムーンフリー脚本001

『科学部の危険なアルバイト』

20150825

高辻カンナ

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陽子……高校の後輩

 

ミドリ……高校の先輩

 


 

陽子「『使用フリー脚本』001」

 

ミドリ「『科学部の危険なアルバイト』」

 

ちょっと間。

 

陽子「せんぱーい。ミドリせんぱーい」

 

ミドリ「あら、やっと来たわね、陽子ちゃん」

 

陽子「あたしに用事って何ですか? ピラミッドパワーの人体実験なら、もうお断りですよ。あれ、頭が、ゆわんゆわんするんです」

 

ミドリ「やあねえ、陽子ちゃん、非科学的。世の中にピラミッドパワーなんて、あるわけないじゃないの。ここは科学部。もっと科学にのっとった話をしましょうよ」

 

陽子「はあ。たとえば?」

 

ミドリ「永久機関とかゾンビパウダーとかオルゴンエネルギーの話よ」

 

陽子「ひとつも聞いたことがないんですう」

 

ミドリ「陽子ちゃんは勉強不足ねえ。まあ、いいわ。とりあえず、このお茶を飲んで話を聞きなさい」

 

陽子「はい。ミドリ先輩って、やっぱり優しい人ですね。ごく、ごく、ごく。色は青くて変だけど、美味しいお茶です」

 

ミドリ「でしょ? でね、今日、部室に来てもらったのには、ちゃんとわけがあるの。陽子ちゃん、アルバイトしない?」

 

陽子「アルバイトですか! 嬉しいです! 今月はちょっとピンチで、大好きなダークモカチップクリームフラペチーノは、ベンティが毎日、飲めないのです」

 

ミドリ「ちなみにそれ、480キロカロリーよ」

 

陽子「うーん? どれくらいでしょうか?」

 

ミドリ「ごはんで言うと、おちゃわん約2杯分。運動で言うと、ゆっくりめなジョギングで約1時間ぐらいね」

 

陽子「約1時間! そうか……それで……なのですね」

 

ミドリ「そう。最近、陽子ちゃん、ぷにぷにしてるでしょ」

 

陽子「ああん! やっぱりそう見えますか! ああん! スリムでつるぺたなロリっ子ボディが自慢だったのにい! コアなファンに直撃だったにい!」

 

ミドリ「そこで、これの出番なのよ。元のボディに戻す、いい薬」

 

陽子「うーん? この薬は何ですか?」

 

ミドリ「あたしが発明した、画期的なダイエットの薬よ。ちょっと飲んで、人体実験になりなさい。アルバイト代はきちんと出すから」

 

陽子「見るからに青色で、いやな感じのカプセルなのですう」

 

ミドリ「いいから、はやく飲みなさい。そのアルバイト代で、陽子ちゃんの好きな、ダークモカチップクリームフラペチーノが、ベンティで毎日飲めるわよ」

 

陽子「うう。それはとても魅力的なのです」

 

ミドリ「そしてまた太り、薬を飲んでまた痩せて、そのバイト代でまた太り、と、あたしの便利なモルモットになりなさい!」

 

陽子「それはいやです! きっと身体を壊します!」

 

ミドリ「大丈夫。あたしは天才だから。まあ、来月にはその薬が完成して、陽子ちゃんなんて、ゴミ箱にポイ、よ」

 

陽子「あーん! それはそれでいやなんですう」

 

ミドリ「冗談、冗談。ほら、はやく飲んでよね。やせるには、その薬が確実よ? すっっごく効くんだから。まあ、予定ではだけど」

 

陽子「ちなみに聞いておきますが、どうゆう理屈で、あたしは痩せるんですか?」

 

ミドリ「あら。意外といい質問をするわね。陽子ちゃん知ってる? 青色って、食欲をなくする色なのよ。青いおにぎりとか、青いカレーとか、人間には美味しそうに見えないものなの」

 

陽子「はあ。ちょっとわかる気がします」

 

ミドリ「そこで、この薬は! ありとあらゆるものが青く見える薬なの。これで食欲もなくなるってものなのよ」

 

陽子「ううーん? どうして、ありとあらゆるものが、青色に見えちゃうようになるんですかあ?」

 

ミドリ「それは簡単。目の中の細胞に、ちょーっと化学的な刺激を与えて」

 

陽子「(さえぎって。冷たい声で)却下です」

 

ミドリ「ああっ、薬を投げ捨てたっ!」

 

陽子「この薬はだめです! もし目が見えなくなったらどうするんですか!」

 

ミドリ「そんなドジはしないわよお。それにね、ちゃんと効果を打ち消す薬もあるの。これを飲めば、すぐに目は元通り」

 

陽子「今度は黄色の薬ですか。いちおう聞いておきますけど、それはどういう理屈なのですか?」

 

ミドリ「うん。これは、すべてが黄色に見える薬なの。つまり青と黄色で打ち消しあうというわけ」

 

陽子「いんちきくさいですう! 壊れたお腹を治す薬と、お腹からいっぱい出す薬を、一緒に飲むみたいなものですう!」

 

ミドリ「あら。うまいたとえ。陽子ちゃん、頭がいいわあ」

 

陽子「褒められても、ちっとも嬉しくないのです。あたし、もう帰りますからね。あ、あれ? 何だか目の前が青く……」

 

ミドリ「ああ。最初にあげたお茶の効き目が出てきたのね。意外と時間がかかるのねえ。これは、改良の余地ありだわ」

 

陽子「ひ、ひどいっ。お茶に、痩せる薬を混ぜたのですねっ」

 

ミドリ「うーん。つい、うっかりってやつ?」

 

陽子「うっかり、じゃありません! 黄色い薬、黄色い薬! あった!」

 

ミドリ「あ! 陽子ちゃん、それは!」

 

陽子「ごっくん、と。ふう。これで、もう青くは見えませんよね?」

 

ミドリ「あ、あのね、陽子ちゃん。今あなたが飲んだのは、オレンジの薬。開発中の、えっちな気持ちになる薬なの」

 

陽子「あ。あ。あ。何だか身体が。ああん、いやあん。陽子、変な気持ちになってきちゃったよお」

 

ミドリ「オレンジの薬は、まだ動物実験中なの。ちょーっと効き目が強すぎるのよね。って陽子ちゃん? あれ? 何する気?」

 

陽子「ああーん。身体が熱くて、もう我慢ができないのですう。ミドリ先輩、いっしょにえっちしてくださあい」

 

ミドリ「あ、あ。だめえ。あーん。陽子ちゃん、あーん。あーん」

 

陽子「うふふ。ミドリ先輩のここ、きれいな青い色」

 

ミドリ「あーん! あたしのそこは、きれいなピンク色よおーっ!」

 

おわり

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